はじめに
日本の男女間の年収格差は、依然として先進国の中で大きい水準にあります。令和6年の調査では、女性の賃金水準は男性の75.8%——つまり約24%の格差が存在します。
この記事では、最新のデータに基づいて男女別の平均年収を徹底分析。格差の実態、原因、世界との比較、そして格差是正に向けた動きまで解説します。
男女の賃金格差サマリー(令和6年)
男女別の平均年収推移(過去10年)
男女間の賃金格差は、緩やかに縮小傾向にあります。
| 年 | 男性(月額) | 女性(月額) | 女性/男性比 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 335,100円 | 242,000円 | 72.2% |
| 2016年 | 335,200円 | 244,600円 | 73.0% |
| 2017年 | 335,500円 | 246,100円 | 73.4% |
| 2018年 | 337,600円 | 247,500円 | 73.3% |
| 2019年 | 338,000円 | 251,000円 | 74.3% |
| 2020年 | 338,800円 | 251,800円 | 74.3% |
| 2021年 | 337,200円 | 253,600円 | 75.2% |
| 2022年 | 342,000円 | 258,900円 | 75.7% |
| 2023年 | 350,900円 | 262,600円 | 74.8% |
| 2024年 | 363,100円 | 275,300円 | 75.8% |
出典
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年版より作成
10年間で女性の賃金水準は72.2%から75.8%に3.6ポイント改善しています。特に2024年は女性の賃金伸び率(+4.8%)が男性(+3.5%)を大きく上回り、過去最高の伸び率を記録しました。
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年代別の男女年収格差
男女の年収格差は年代によって大きく異なります。20代では比較的小さいものの、30代以降に急拡大します。
| 年代 | 男性(推計年収) | 女性(推計年収) | 差額 | 女性/男性比 |
|---|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約366万円 | 約347万円 | 約19万円 | 94.8% |
| 25〜29歳 | 約454万円 | 約398万円 | 約56万円 | 87.7% |
| 30〜34歳 | 約530万円 | 約421万円 | 約109万円 | 79.4% |
| 35〜39歳 | 約595万円 | 約434万円 | 約161万円 | 72.9% |
| 40〜44歳 | 約646万円 | 約447万円 | 約199万円 | 69.2% |
| 45〜49歳 | 約679万円 | 約455万円 | 約224万円 | 67.0% |
| 50〜54歳 | 約700万円 | 約468万円 | 約232万円 | 66.9% |
| 55〜59歳 | 約724万円 | 約449万円 | 約275万円 | 62.0% |
格差のターニングポイントは30代
- 20代前半:格差わずか約19万円(女性94.8%)
- 30代前半:格差が約109万円に拡大(女性79.4%)
- 50代後半:格差最大約275万円(女性62.0%)
30代で格差が急拡大する主因は、出産・育児による離職や時短勤務、管理職登用の差です。
業界別の男女年収格差
| 業界 | 男性(月額) | 女性(月額) | 女性/男性比 |
|---|---|---|---|
| 金融・保険 | 465,700円 | 273,600円 | 58.7% |
| 情報通信 | 413,700円 | 316,200円 | 76.4% |
| 製造業 | 355,100円 | 237,600円 | 66.9% |
| 卸売・小売 | 364,500円 | 254,700円 | 69.9% |
| 医療・福祉 | 369,400円 | 280,200円 | 75.8% |
| 教育・学習支援 | 425,300円 | 327,600円 | 77.0% |
| 宿泊・飲食 | 300,500円 | 228,400円 | 76.0% |
| 建設業 | 375,200円 | 275,800円 | 73.5% |
金融・保険が最大の格差
金融・保険業界は女性/男性比が58.7%と最も格差が大きい業界です。総合職と一般職のコース別採用の影響が大きく、男性が総合職、女性が一般職に偏る傾向が格差を生んでいます。
男女年収格差が生まれる5つの原因
1. 管理職比率の差
日本の女性管理職比率は約13.2%(令和5年雇用均等基本調査)。主要先進国の30〜40%と比べて著しく低い水準です。管理職になると年収は大幅にアップするため、この差が年収格差に直結します。
2. 非正規雇用比率の差
女性の非正規雇用比率は53.2%に対し、男性は22.0%(令和5年労働力調査)。非正規と正規の賃金差は約1.5倍あり、雇用形態の偏りが格差の大きな要因です。
3. 育児による離職・時短勤務
第1子出産後に離職する女性は約46%。復帰後も時短勤務を選択するケースが多く、昇進やキャリア形成に影響します。いわゆる「M字カーブ」は解消されつつありますが、「L字カーブ」(正規雇用率の低下)は依然として残っています。
4. 職種の偏在
高年収の職種(ITエンジニア、金融専門職、建設技術者など)に男性が多く、事務職・サービス職に女性が多い傾向があります。職種選択の段階で年収ポテンシャルに差がつきます。
5. 給与交渉の差
研究によると、男性は女性の約4倍の頻度で給与交渉を行うとされています。交渉しないことによる機会損失は、生涯で数百万円に達する可能性があります。
世界との比較(OECD諸国)
主要国の男女賃金格差(中央値ベース)
日本の男女賃金格差21.3%は、OECD平均(11.9%)の約2倍で、韓国に次いでワースト2位です。北欧諸国(スウェーデン7.4%、ノルウェー4.6%など)とは大きな差があります。
格差是正に向けた制度・法律
同一労働同一賃金
2020年4月から大企業、2021年4月から中小企業にも適用。正規・非正規間の不合理な待遇差の禁止により、特に女性が多い非正規雇用者の待遇改善が進んでいます。
女性活躍推進法
2022年7月からは従業員301人以上の企業に男女の賃金差異の公表が義務化されました。情報公開による企業間の競争が格差是正を促進しています。
育児・介護休業法の改正
2022年10月から「産後パパ育休」が創設され、男性の育休取得率は急上昇(令和5年度で30.1%)。男性の家事・育児参加が進むことで、女性のキャリア中断を防ぐ効果が期待されます。
個人でできること
- 年収水準が高い業界・職種へのキャリアチェンジ
- 転職時の年収交渉を積極的に行う
- 管理職や専門職キャリアを目指す
- 資格取得で市場価値を高める
よくある質問(FAQ)
Q. 同じ会社・同じ職種でも男女で年収差はありますか?
同一職種・同一等級でも、残業時間の差や成果評価の差により年収差が生じるケースはあります。ただし、同一労働同一賃金の原則により、不合理な差は禁止されています。
Q. 女性の年収が男性を上回る職種はありますか?
一部のデータでは、20代の一部職種(接客サービス等)で女性が男性を上回るケースがあります。ただし、統計的に有意な差があるものは限られています。
Q. パート・アルバイトを含めると格差はさらに広がりますか?
はい。国税庁の民間給与実態統計調査(令和5年)では、パート含む全体の平均年収は男性569万円、女性316万円で、格差は約253万円(女性は男性の55.5%)に拡大します。
Q. 男女の賃金格差は何年で解消されますか?
現在の縮小ペース(年間約0.3〜0.5ポイント改善)が続いた場合、OECD平均に追いつくには約20〜30年かかると試算されます。政策や企業の取り組み次第で加速する可能性もあります。
Q. 転職で男女の年収格差を縮められますか?
可能です。転職は年収アップの有効な手段で、特に年収水準が高い業界・企業への転職や、転職時の年収交渉により格差を縮めることができます。STRIDEの年収診断で自分の市場価値を確認しましょう。
まとめ
- 女性の賃金は男性の75.8%(令和6年、改善傾向)
- 20代の格差は小さいが、30代以降に急拡大
- 主な原因は管理職比率・非正規雇用比率・育児離職の構造的問題
- 日本の格差はOECD平均の約2倍で先進国最低レベル
- 個人レベルではキャリアチェンジ・年収交渉・資格取得が有効