はじめに
退職が決まったものの、「退職後にどんな手続きが必要なのか分からない」「手続きの期限を過ぎてしまわないか不安」という方は多いのではないでしょうか。
退職後には、健康保険の切替・年金の手続き・失業保険の申請・住民税の納付方法の変更など、やるべきことが数多くあります。手続きによっては期限が14日以内と短いものもあり、うっかり忘れてしまうと損をしたり、無保険の状態になってしまうリスクもあります。
この記事では、退職日当日から時系列に沿って、必要な手続きをチェックリスト形式で分かりやすく解説します。この記事を保存しておけば、手続き漏れを防いでスムーズに次のステップに進むことができます。
この記事の使い方
退職日を基準に「当日」「1〜5日以内」「14日以内」「1ヶ月以内」の4つの時期に分けて手続きを整理しています。すでに退職済みの方は、該当する時期のセクションから読み始めてください。退職前の方は、退職届・退職願の書き方ガイドもあわせてご確認ください。
退職日当日にやること
退職日は最終出社日であることが多く、会社との間でさまざまなやり取りが発生します。「返却するもの」と「受け取るもの」をしっかり確認しておきましょう。
会社に返却するもの
退職日当日(または最終出社日)に、以下のものを会社に返却します。忘れると後日郵送になり手間がかかるため、事前にリストアップしておきましょう。
- 健康保険証(被保険者証):退職日翌日から使えなくなります。扶養家族の分も忘れずに返却しましょう
- 社員証・IDカード・入館証:セキュリティ上、必ず返却が必要です
- 名刺(自分の名刺・取引先の名刺):会社の資産として扱われます
- 通勤定期券:会社で購入してもらっていた場合は返却します
- 会社の備品:ノートPC・携帯電話・制服・鍵・駐車場カードなど
- 業務資料・データ:社内文書やUSBメモリ、個人PCに保存した業務データなど
注意:健康保険証は退職日当日まで有効
健康保険証は退職日当日までは使用できますが、退職日の翌日から無効になります。退職後に病院にかかる可能性がある方は、退職前に通院を済ませておくか、退職後すぐに新しい健康保険の手続きを行いましょう。退職日翌日以降に旧保険証を使うと、後日医療費の返還を求められます。
会社から受け取るもの
退職時に会社から受け取る書類は、今後の各種手続きに必要な重要書類です。もれなく受け取りましょう。
- 離職票(離職票-1・離職票-2):失業保険の申請に必要。退職後10日〜2週間程度で郵送されるのが一般的です
- 雇用保険被保険者証:転職先での雇用保険加入手続きに必要です
- 源泉徴収票:確定申告や転職先での年末調整に必要。退職後1ヶ月以内に発行されます
- 年金手帳(基礎年金番号通知書):会社が保管していた場合は返却してもらいます。マイナンバーカードで代用できる場合もあります
- 健康保険資格喪失証明書:国民健康保険への加入手続きに必要です。会社または健康保険組合に発行を依頼します
- 退職証明書:必要に応じて会社に発行を依頼します。国保加入時に健康保険資格喪失証明書の代わりになることもあります
退職日当日のチェックポイント
- 返却物はまとめてカバンに入れておく
- 受け取る書類が「後日郵送」の場合、いつ届くか確認しておく
- 離職票の発行を会社に依頼しておく(依頼しないと発行されないケースもある)
- 退職後の連絡先(メールアドレス・住所)を会社に伝えておく
退職後すぐ(1〜5日以内)にやること
退職後は、できるだけ早く失業保険(雇用保険の基本手当)の手続きを始めましょう。手続きが遅れるほど、受給開始が遅れ、受け取れる総額が減ってしまう可能性があります。
失業保険(雇用保険)の手続き
失業保険は、退職後に次の仕事が決まるまでの間、生活を支えるための大切な制度です。受給するためには、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きが必要です。
居住地を管轄するハローワークに、離職票・マイナンバーカード・証明写真2枚・通帳・印鑑を持参して手続きを行います。
窓口で求職の申込みと離職票の提出を行い、受給資格が決定されます。この日から7日間の待機期間が始まります。
自己都合退職の場合は、待機期間7日間の後にさらに2ヶ月間の給付制限期間があります。会社都合退職の場合は給付制限なしで受給が始まります。
失業保険の受給条件や金額の計算方法について、より詳しく知りたい方は以下のガイドをご覧ください。
関連記事:失業保険の完全ガイド
受給条件・金額の計算方法・ハローワークでの手続きの流れを徹底解説しています。
失業保険(雇用保険)の受給完全ガイドを読む
また、自分がいくら受給できるのか事前に知りたい方は、失業保険計算シミュレーターをご活用ください。
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退職後14日以内にやること
退職後14日以内に対応すべき手続きは、主に「健康保険の切替」「国民年金への加入」「住民税の手続き」の3つです。いずれも届出期限が退職日の翌日から14日以内と定められているため、早めに対応しましょう。
1. 健康保険の切替
退職すると、それまで加入していた会社の健康保険(社会保険)の資格を失います。日本では国民皆保険制度があるため、何らかの健康保険に加入し続ける必要があります。退職後の健康保険は、以下の3つの選択肢があります。
(1) 任意継続被保険者になる
退職前に加入していた健康保険を、最長2年間継続できる制度です。退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。
- 条件:退職日までに継続して2ヶ月以上加入していたこと
- 保険料:退職時の標準報酬月額をもとに計算(全額自己負担。在職中は会社と折半だったため、約2倍になる)
- メリット:保険料が一定(2年間変わらない)、扶養家族の追加負担なし
- 届出先:加入していた健康保険組合 または 協会けんぽ
(2) 国民健康保険(国保)に加入する
お住まいの市区町村が運営する健康保険に加入する方法です。退職日の翌日から14日以内に届出が必要です。
- 保険料:前年の所得に基づいて計算(市区町村ごとに異なる)
- メリット:所得が下がれば翌年の保険料も下がる、減免制度あり
- 届出先:お住まいの市区町村役所の国保担当窓口
- 必要書類:健康保険資格喪失証明書(または退職証明書)、マイナンバーカード、印鑑
(3) 家族の健康保険の扶養に入る
配偶者や親など、家族が会社の健康保険に加入している場合、その扶養に入ることができます。
- 条件:年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)で、扶養者の年収の半分未満であること
- 保険料:無料(扶養者の保険料も変わりません)
- 届出先:扶養者の勤務先を通じて手続き
どの健康保険を選ぶべき?比較のポイント
退職前の年収が高い方は、任意継続のほうが国保より安くなるケースが多いです。一方、退職後に収入が大幅に下がる見込みがある方は、翌年から国保の保険料が下がるため、国保のほうが有利になることもあります。迷ったら、まず市区町村の窓口で国保の保険料を確認し、任意継続の保険料と比較して決めましょう。なお、会社都合退職(特定受給資格者)の場合は国保の保険料が最大7割軽減される制度がありますので、該当する方は国保が圧倒的にお得です。
2. 国民年金への切替
会社員として厚生年金に加入していた方は、退職後に国民年金第1号被保険者への切替手続きが必要です。届出期限は退職日の翌日から14日以内です。
- 届出先:お住まいの市区町村役所の国民年金担当窓口
- 必要書類:年金手帳(または基礎年金番号通知書)、退職日がわかる書類(離職票・退職証明書など)、マイナンバーカード、印鑑
- 保険料:月額16,980円(2026年度)※毎年改定されます
国民年金の免除制度を活用しよう
退職後に収入がなくなった場合、国民年金保険料の免除申請ができます。全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階があり、退職(失業)を理由とする場合は審査が通りやすくなります。免除期間中も年金の受給資格期間には算入されるため、未納のまま放置するよりも必ず免除申請を行いましょう。届出先は市区町村役所です。
なお、配偶者が会社員で厚生年金に加入している場合は、国民年金第3号被保険者として届出することもできます。この場合、年金保険料の負担はありません。届出は配偶者の勤務先を通じて行います。
3. 住民税の手続き
住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後も支払い義務があります。在職中は給与から毎月天引き(特別徴収)されていましたが、退職すると自分で納める「普通徴収」に切り替わります。
退職時期による住民税の取り扱い
| 退職時期 | 住民税の取り扱い |
|---|---|
| 1月〜5月に退職 | 退職月から5月分までの住民税が、最後の給与から一括徴収されます |
| 6月〜12月に退職 | 退職月の翌月以降分は普通徴収に切り替わり、自治体から届く納付書で自分で納付します |
住民税の支払いに注意
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職後に収入がなくなっても、前年分の住民税の支払いは必要です。退職前の年収が高かった場合、思った以上に高額な住民税の請求が届くことがあります。退職前に住民税の年額を確認し、支払いの資金を確保しておきましょう。なお、退職後すぐに転職する場合は、転職先で特別徴収に切り替えることも可能です。
退職後1ヶ月以内にやること
各種届出が完了したら、いよいよ転職活動の本格始動です。退職後1ヶ月以内のこの時期に準備を整えて、スムーズに転職活動を進めましょう。
ハローワーク初回説明会への参加
失業保険の手続きを行った方は、待機期間終了後にハローワークが指定する日に「雇用保険受給者初回説明会」に参加する必要があります。この説明会では以下のことが行われます。
- 「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」の交付
- 失業認定の手続き方法の説明
- 求職活動の条件についての案内
- 第1回目の失業認定日の通知
初回説明会に参加しないと失業保険を受給できないため、指定された日時に必ず出席しましょう。
転職活動の本格開始
退職後1ヶ月以内は、転職活動を始める最適なタイミングです。以下のステップで効率的に進めましょう。
複数の求人サイトに登録し、気になる求人に積極的に応募しましょう。失業保険の受給中は、4週間に2回以上の求職活動実績が必要です。転職サイトからの応募も求職活動として認められます。
退職理由の伝え方、志望動機、自己PRなどを準備しましょう。特に退職理由は前向きな表現で伝えることが大切です。
再就職手当をもらうなら早めの行動が大切
給付日数の2/3以上を残して再就職すると、再就職手当が70%支給されます。退職後すぐに転職活動を始めることで、再就職手当を最大限に活用できます。
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確定申告が必要なケース
退職した年に確定申告が必要かどうかは、退職時期や退職金の有無、副業収入の有無などによって異なります。以下のケースに該当する方は、翌年の2月16日〜3月15日の期間に確定申告を行いましょう。
年の途中で退職し、年内に再就職しなかった場合
会社員の場合、通常は会社が年末調整を行ってくれるため、確定申告は不要です。しかし、年の途中で退職し、12月31日時点でどの会社にも所属していない場合は、年末調整が行われないため、自分で確定申告をする必要があります。
多くの場合、毎月の給与から天引きされていた所得税は概算で多めに計算されているため、確定申告をすることで還付金(払いすぎた税金の返還)を受け取れる可能性が高いです。
確定申告で還付金がもらえるケース
- 年の途中で退職し、再就職しなかった場合(天引きされた所得税の還付)
- 退職後に国民健康保険料・国民年金保険料を支払った場合(社会保険料控除)
- 医療費が年間10万円を超えた場合(医療費控除)
- 生命保険料・地震保険料を支払った場合(各種保険料控除)
退職金を受け取った場合
退職金を受け取る際に、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職金から正しい税額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は不要です。
しかし、この申告書を提出していない場合は、退職金の金額に対して一律20.42%の所得税が源泉徴収されており、実際の税額より多く天引きされている可能性があります。この場合は確定申告で精算し、還付を受けましょう。
副業収入がある場合
在職中に副業をしていた場合や、退職後にフリーランスとして収入を得た場合は、その所得についても確定申告が必要です。副業の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要になるため注意しましょう。
確定申告に必要な書類
- 源泉徴収票:退職した会社から受け取ったもの
- 社会保険料の控除証明書:国民健康保険料・国民年金保険料の支払い証明
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書:保険会社から届くもの
- 医療費の領収書:医療費控除を申請する場合
- マイナンバーカード:e-Tax(電子申告)を利用する場合
- 銀行口座情報:還付金の振込先
退職後の手続きチェックリストまとめ
退職後に必要な手続きを一覧表にまとめました。印刷やスクリーンショットで保存して、漏れなく手続きを進めましょう。
| 手続き名 | 期限 | 届出先 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 失業保険の申請 | できるだけ早く(離職票届き次第) | 管轄のハローワーク | 離職票、マイナンバーカード、証明写真2枚、通帳、印鑑 |
| 健康保険の切替(国保) | 退職後14日以内 | 市区町村役所 | 健康保険資格喪失証明書、マイナンバーカード、印鑑 |
| 健康保険の任意継続 | 退職後20日以内 | 健康保険組合 or 協会けんぽ | 任意継続被保険者資格取得申出書、印鑑 |
| 国民年金への切替 | 退職後14日以内 | 市区町村役所 | 年金手帳、退職日がわかる書類、マイナンバーカード、印鑑 |
| 国民年金の免除申請 | 退職後すみやかに | 市区町村役所 | 年金手帳、離職票(または退職証明書)、印鑑 |
| 住民税の普通徴収への切替 | 退職時に会社が手続き | (会社が届出) | (会社が処理するため個人での届出は不要) |
| 確定申告 | 翌年2/16〜3/15 | 管轄の税務署 or e-Tax | 源泉徴収票、控除証明書、マイナンバーカード |
| ハローワーク初回説明会 | 指定された日(待機期間後) | 管轄のハローワーク | 受給資格決定時の書類一式 |
すぐに転職する場合は手続きが異なります
退職後すぐに(空白期間なく)転職先に入社する場合は、健康保険・厚生年金・雇用保険は新しい会社で加入手続きが行われるため、国保や国民年金への切替手続きは不要です。住民税も転職先で特別徴収に切り替えてもらえます。ただし、離職票と源泉徴収票は念のため受け取っておきましょう。万が一、転職先を短期間で退職した場合に必要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 退職後すぐに転職する場合、どの手続きが不要になりますか?
健康保険・年金・失業保険の手続きが不要になります。退職後すぐに転職先に入社する場合(空白期間がない場合)、健康保険と厚生年金は新しい会社で加入手続きが行われるため、国保や国民年金への切替は必要ありません。失業保険の手続きも不要です。ただし、離職票は受け取っておくのが安心です。住民税は転職先で特別徴収に切り替えてもらえます。源泉徴収票は転職先での年末調整に必要なので、必ず受け取りましょう。
Q2. 離職票が届かない場合はどうすればいいですか?
まず退職した会社に催促し、それでも届かない場合はハローワークに相談しましょう。会社は退職日から10日以内に離職票を発行する義務があります。2週間以上経っても届かない場合は会社に問い合わせましょう。それでも対応されない場合は、ハローワークから会社に催促してもらうことができます。なお、離職票が届く前でも「仮手続き」としてハローワークで受給資格の確認を進められる場合があります。
Q3. 健康保険の任意継続と国保、どちらがお得ですか?
退職前の年収や家族構成によって異なります。任意継続は退職時の標準報酬月額をもとに保険料が決まり、最長2年間加入できます。国保は前年の所得に基づいて保険料が計算されます。一般的に、退職前の年収が高い場合は任意継続のほうが安くなることが多いです。ただし、会社都合退職の場合は国保の保険料が最大7割軽減される制度があるため、国保が圧倒的にお得です。迷ったら、市区町村の窓口で国保の保険料を確認してから比較しましょう。
Q4. 退職後の住民税はどうなりますか?
退職後も前年分の住民税の支払いは必要です。住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後に収入がなくなっても支払い義務があります。在職中は給与から天引き(特別徴収)されていましたが、退職すると自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。1月〜5月に退職した場合は、退職月から5月分までが最後の給与から一括徴収されます。6月〜12月に退職した場合は、自治体から届く納付書で残りの分を自分で支払います。
Q5. 退職後に確定申告は必要ですか?
年の途中で退職し、年内に再就職しなかった場合は確定申告が必要です。会社で年末調整が行われていないため、自分で所得税の精算をする必要があります。多くの場合、給与から天引きされた所得税が多すぎるため、確定申告をすることで還付金を受け取れます。退職金がある場合も、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなければ確定申告が必要です。確定申告の時期は翌年の2月16日〜3月15日です。e-Taxを使えば自宅からオンラインで手続きできます。
まとめ
退職後の手続きは種類が多く期限も異なるため、計画的に進めることが大切です。この記事のポイントを振り返りましょう。
- 退職日当日:会社への返却物(保険証・社員証・備品)を漏れなく返し、離職票・源泉徴収票・年金手帳などを受け取る(または後日郵送の確認をする)
- 退職後すぐ(1〜5日以内):離職票が届いたらハローワークで失業保険の手続きを開始。手続きが遅れるほど受給開始が遅れるため、早めの行動が重要
- 退職後14日以内:健康保険の切替(任意継続 or 国保 or 扶養)、国民年金への切替、住民税の普通徴収への対応を行う
- 退職後1ヶ月以内:ハローワーク初回説明会に参加し、履歴書・職務経歴書の準備と求人への応募を本格的に開始する
- 確定申告:年途中退職で年内に再就職しなかった場合は、翌年に確定申告を行う。還付金がもらえるケースが多い
退職後は不安なことも多いですが、やるべきことを一つずつ着実に進めていけば大丈夫です。このチェックリストを活用して、手続き漏れのない万全の状態で転職活動に臨みましょう。STRIDEでは、求人検索から履歴書作成、年収診断まで、転職に必要なツールをすべて無料で提供しています。ぜひご活用ください。
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