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AIでなくなる仕事は49%なのか?47%・49%・7%という数字の違いと読み方

「AIで仕事がなくなる」という話には、47%・49%・7%という大きく違う数字が同時に流通しています。どれも実在する推計ですが、測っているものが違います。出どころと前提を確認すれば、自分の仕事に当てはめて考えられるようになります。

3つの数字はどれも実在する(測っているものが違う)

「AIでなくなる仕事」の話で引かれる数字は、主に次の3つです。いずれも実在する推計ですが、対象の国・単位・前提が違うため、そのまま比べることはできません。

数字誰の推計対象何を測ったか
約47%Frey & Osborne(2013年9月)米国・702職業代替可能性が70%以上の職業に就く労働人口の割合
約49%野村総合研究所(2015年)日本・601職業同じ考え方で日本の職業を試算したもの
約7%OECD(2016年)日本タスク単位で見て代替リスクが70〜100%の労働者の割合

OECDの同じ推計では、米国9%・ドイツ6%・OECD平均9%となっており、日本の7%はOECD平均を下回ります。「日本の49%」と「日本の7%」は、同じ国について別の測り方をした結果です。

なぜ49%と7%が両立するのか──職業単位とタスク単位

差を生んでいるのは測定単位です。Frey & Osborne と野村総合研究所の推計は職業(ジョブ)単位で、「この職業は機械に置き換えられるか」を評価します。一方OECDの推計はタスク(作業)単位で、「その職業に含まれる個々の作業のうち、どれだけが置き換えられるか」を見ます。

同じ仕事でも数字が変わる理由

ひとつの職業は複数の作業の束です。職業単位の評価では、束のうち自動化しやすい作業が多ければ「その職業は代替可能」と判定されます。タスク単位で見ると、同じ職業の中に自動化しにくい作業が相当残っていることが多く、「職業ごと消える」と判定されるケースはずっと少なくなります。

RIETI(経済産業研究所)のレポートは、職業単位の前提について「作業のすべてが代替可能とは限らないため過大である」というArntzの指摘を紹介し、47%という数字を世界の多数の研究の中で「最も極端な部類」に属すると評価しています。同レポートによれば、ZEW研究所がタスク単位で再推計した結果は米国9%・ドイツ12%(2015年6月)でした。

「AIで仕事がなくなるのは嘘」なのか

「嘘」と断じるのも「49%が消える」と受け取るのも、どちらも元の推計が言っていることから離れます。確認できる事実は次の3点です。

  1. 公的な白書も、過大評価の指摘を併記している。総務省の情報通信白書(平成30年版)は47%の推計を紹介しつつ、影響を過大に評価しているという指摘があることも記載しています。
  2. 著者本人が範囲を限定している。RIETIのレポートによれば、Osborne氏は2016年10月の来日時に「技術的な可能性を示しただけで、雇用増の部分は一切考慮していない」と答えています。
  3. 同じ国でも測り方で桁が変わる。日本について職業単位では約49%、タスク単位では約7%です。

推計に入っていないもの

これらの数字は「技術的に置き換えられるか」の試算です。導入コスト・法規制・人手不足・そして新しく生まれる職業や増える仕事は計算に入っていません。したがって「代替可能性が高い」と分類された職業が、実際にその割合で減るという予測ではありません。

「何年後」なのか

Frey & Osborne の推計が置いた期間の前提は「10〜20年以内」です。この論文は2013年9月の発表なので、その射程は2023年〜2033年ごろにあたります。野村総合研究所の日本版(2015年)も同じ枠組みで、「10〜20年後」として語られます。

つまり、現在流通している「10〜20年後になくなる」という表現は、2013年または2015年を起点にした期間です。記事や動画でこの数字を見たときは、いつの時点から数えた10〜20年なのかを確認すると、話の新しさが判断できます。生成AIが広く使われ始めたのは推計の発表よりあとなので、これらの推計は生成AIの影響を織り込んでいません。

「なくなる職業一覧」の読み方

職業名が並んだ一覧を見るときは、その順位が何を意味しているかに注意してください。これらの一覧は職業単位の技術的な代替可能性の確率を並べたもので、次のものは含まれていません。

  • その職業の求人数や人手不足の状況(代替可能性が高くても採用が続いている職種はあります)
  • その職業の賃金水準の推移
  • 新しく生まれる仕事や、同じ職業の中で増える業務
  • 日本の労働法制・雇用慣行による導入の遅速

自分の職種を考えるなら、確率の数字より「自分の仕事のどの作業が置き換えられ、どの作業が残るか」を分解したほうが具体的です。OECDがタスク単位で測って数字が大きく下がったのは、まさにこの分解を行ったからです。

判断材料として使える実データ

よくある質問

Q. 「AIで仕事の49%がなくなる」の出どころはどこですか?

A. 野村総合研究所が2015年に公表した日本の推計です。オックスフォード大学のFrey & Osborne と共同で、日本の601職業を対象に機械による代替可能性を試算し、代替可能性が高い職業に就く労働人口の合計が約49%という結果でした。総務省の情報通信白書(平成30年版)にも引用されています。

Q. 47%と49%はどう違うのですか?

A. 47%はFrey & Osborne が2013年に発表した米国の数字(702職業が対象)、49%は同じ枠組みで日本を試算した野村総合研究所の数字(601職業が対象)です。対象国と職業数が違うだけで、考え方は同じです。

Q. OECDの7%という数字は何ですか?

A. OECDが2016年に公表した、タスク(作業)単位で代替リスクを測った推計での日本の数値です。代替リスクが70〜100%の労働者の割合で、米国9%・ドイツ6%・OECD平均9%でした。職業単位で測った49%とは測定単位が違います。

Q. 結局、何年後になくなるのですか?

A. 推計が置いた前提は「10〜20年以内」です。元の論文が2013年9月、日本版が2015年の発表なので、その射程は2023年〜2033年ごろにあたります。なお、これらの推計は生成AIが普及する前のもので、生成AIの影響は織り込まれていません。

Q. これらの推計は信頼できるのですか?

A. 査読を経た研究に基づく推計ですが、総務省の情報通信白書は47%の推計に過大評価の指摘があることを併記しており、経済産業研究所のレポートは47%を世界の研究の中で「最も極端な部類」と評価しています。著者のOsborne氏自身も、技術的な可能性を示したもので雇用増は考慮していないと述べています。幅のある数字として読むのが適切です。

Q. 自分の仕事が対象かどうかは、どう調べればよいですか?

A. 職業名で確率を調べるより、自分の業務を作業単位に分解して、どの作業が自動化しやすいかを見るほうが実際的です。OECDがタスク単位で測り直して数字が大きく下がったのは、この分解によるものです。

この記事のまとめ

  • 47% = Frey & Osborne(2013年9月)の米国推計。702職業のうち代替リスク70%以上の職業に就く労働人口の割合
  • 49% = 野村総合研究所(2015年)の日本推計。601職業を対象に同じ手法で試算したもの
  • 7% = OECD(2016年)の日本の数字。こちらは職業ではなくタスク単位で測っている
  • 期間の前提は「10〜20年以内」。2013年の論文なので、その射程は2023〜2033年ごろにあたる
  • 総務省の情報通信白書は、47%の推計に過大評価の指摘があることを併記している
  • いずれも技術的な可能性の試算で、新しく生まれる雇用は計算に入っていない

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